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サウジアラビア・メッカ近郊で巡礼者将棋倒し、死者700人超・・・原因の「ジャマラートの投石」は何をする儀式?

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9月24日、サウジアラビア、メッカ近郊の都市ミナ(Mina)で、メッカへの巡礼(ハッジ)の儀式途中に巡礼者が将棋倒しとなりました。

700人以上が死亡、900人近くが負傷したとの情報が入っています。

現場では現地警察や救急隊約400人と救急車200台が懸命な救助作業を行なっていますが、死傷者はまだ増える見込みです。

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メッカへの巡礼(ハッジ)とは

ハッジはイスラム教徒が一生に一度は参加したいと願っている儀式です。

イスラム教の聖典「コーラン」には、イスラム教徒が天国に行くために守るべきこととして「五行」が定められています。

  • 信仰の告白「アラーの他には神はいない。ムハンマドはアラーの使途なり」と唱えること
  • 礼拝1日5回、夜明け前、正午過ぎ、日没前、日没直後、寝る前にメッカの方を向いて祈りを捧げること
  • 喜捨貧しい者に寄付すること。収入の約2.5%とされる
  • 断食イスラム歴の9番目の月(ラマダン月)に1ヵ月、日の出から日没まで断食すること
  • 巡礼聖地であるメッカに巡礼に行くこと

このうち最後の「巡礼」だけは、経済的その他の問題があるため、絶対的に守らなくてはならないものとはされていません。

でも「五行」の一つですから、一度でもハッジを行なった者は回りから大変な尊敬を受けます。

このハッジでは、おこなうべき儀式が決まっています。

  1. カアバ神殿(イスラム教徒にとっての最大の聖地)への巡礼
  2. メディナ(預言者ムハンマドのモスク)への巡礼
  3. ミナへの移動
  4. アラファト山への移動
  5. ムズダリファ(ミナとアラファト山の間にある都市)への移動。⑥⑨のための石が集められている地域。
  6. ミナへの移動、「ジャマラートの投石」を始める
  7. マスジド・アル・ハラーム(カアバ神殿の回りを囲むモスク)を訪問
  8. ミナに帰着
  9. ミナで「ジャマラートの投石」の続きを行なう
  10. メッカに移動

今回事故が起きたのは、⑨「ジャマラートの投石」の儀式の最中だったようです。

「ジャマラートの投石」は何をする儀式?

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ジャマラートの投石は、悪魔を象徴するとされる壁に向かって石を投げるという儀式です。

まず、⑤のムズダリファで7個の石を手に入れ、⑥翌日ミナに移動しそれを全て壁に投げ、その後各自動物を1匹、生贄として捧げます。

それが終わると⑦モスクを訪問し、その日のうちに⑧ミナに戻ります。

そして翌日、ミナにある3つの壁(以前は柱だったが、安全上の問題から2004年に受け皿付きの巨大な壁に変更) 全てに石を投げ、悪魔祓いの儀式を続けるのです。

これだけの儀式を毎年200万人近くのイスラム教徒が同じ日のうちに行なう訳ですから、事故が起きて当然でしょう。

特にこのジャマラートの投石中に将棋倒しで死傷者が出る事が多く、1994年には270人、2004年には251人、2006年にも346人が犠牲になっています。

その他にも、1990年にトンネル内で将棋倒しになった巡礼者1426人が亡くなっています。

今回の事故も、橋の上で別方向から来た2グループが殺到したことから起きています。

なぜそこまでしてメッカに巡礼に行くのか

最近はアルカイダやISILをはじめ多くの過激派組織ばかりが取り上げられますが、殆どのイスラム教徒は穏やかで敬虔な人々です。

アラーへの信仰が人生において最も大切な事だと捉えているため、「五行」の一つである巡礼に行くことがアラーへの完全な帰依である、と考えている人が多いのです。

経済的に苦しければそれもかないませんが、イスラム教徒は全世界に広がっています。

イスラムというと中東あたりを思い浮かべる人が多いと思いますが、実は最もイスラム教徒が多いのはインドネシアです。

約2億2000万人、人口の95%に当たります。その他、旧ソビエトのタジキスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャンも人口の75~100%がイスラム教徒です。

経済成長を続けるインドネシアやマレーシアのイスラム教徒の中には、メッカに巡礼に行くだけの経済力を持った人々が多くいます。

1回の巡礼にかかる金額は35万円(テントで雑魚寝)~150万(礼拝場所の近くにある5つ星ホテル宿泊)とされており、20~30代のホワイトカラーの年収程度だそうで、それなら数年貯めれば渡航は可能です。

インドネシアでは、あまりに巡礼希望者が多すぎるため、政府が制限をかけているそうです。

巡礼は年間20万人に抑えており、今申し込んでも渡航できるのは10年先だとか。

私たち日本人の殆どは、ここまでして聖地に行きたいという気持ちは理解できないでしょう。

でも彼らにとって、アラーに背くことは地獄行きという事です。

生きている時はいつでも、アラーを思っていなくてはならない、と考えているのです。礼拝が1日5回もあるのはそのためです。

巡礼の時期以外なら安全に観光できるの?

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サウジアラビアではこの世で楽しむ事はアラーを忘れる事だとして、全ての娯楽が禁止されています。

ですからコンサートや映画などもなし。海外への観光旅行など夢のまた夢です。

また、「女性は男性に守られるべきもの」という考えがあり、女性が働く事はもちろん、女性だけで外出するのも禁止。

家族の男性付きでないと何も出来ません。

しかも、全身黒づくめのマントを被ることになっています。

このようにイスラム教一筋の国ですから、異教徒が滞在できるのは仕事がらみの時だけです。観光旅行での入国は許されていません。

仕事で行くにしても、サウジアラビア側からの招待状(許可証)がなければビザが降りません、家族を呼び寄せるのも許可制です。

北朝鮮ですら時々ツアーがある事を考えると、サウジアラビアは日本人にとって最も遠い国かもしれませんね。

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