毎年4月15日は「イリオモテヤマネコの日」 沖縄県竹富町で制定、長崎県対馬市とヤマネコ保護を推進

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西表島が属する沖縄県八重山郡竹富町は、4月15日を「イリオモテヤマネコの日」に制定することを25日発表しました。

イリオモテヤマネコの保全活動を啓発・強化するためです。

1965年4月15日にイリオモテヤマネコが「新種」と公表され早や50年、これを記念し町民からの意見をつのり、この日が選定されました。

イリオモテヤマネコってどんな猫?

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イリオモテヤマネコ(西表山猫)は、1965年に沖縄県西表島で発見された猫です。

当時は「新種」と騒がれましたが、遺伝子調査の結果、現在では「約20万年前に渡来した、アジア原産のベンガルヤマネコが祖先」と考えられています。

西表島でのみ生息が確認されている野生猫で、国の特別天然記念物・国内希少野生動植物種、及び絶滅危惧IA種になっています。

現在の生息数は100~110匹と推定されます。

この「絶滅危惧IA種」とは、「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」に分類されている動植物で、現在他にゲンゴロウ、コウノトリ、ハゼなどがいます。

沖縄県にはイリオモテヤマネコの他にダイトウオオコウモリ、オキナワトゲネズミ、センカクモグラなどがおり、県を上げて保護をしています。

イリオモテヤマネコは1977年までは特別天然記念物という扱いだけでしたが、その年イギリスのエディンバラ公が保護を天皇(当時皇太子)に直訴しました。

それにより当時の首相、福田赳夫も声を上げ、イリオモテヤマネコの本格的な調査が始まったのです。

その後第1次~第4次調査まで行われ、現在も自動撮影など各種最新機器を用いての調査を続けています。

また、西表野生生物保護センターや西表森林生態系保全センターなどがイリオモテヤマネコの保護・保全のための活動を行なっています。

普通の猫と何が違うの?

原始的なヤマネコで、ベンガルヤマネコの近種の先祖の原始的な特徴を残す種である事が判明しています。

体長は50~60センチでイエネコよりやや大きく、体重は3~5キロ程度です。

全身が暗い褐色であごだけが白く、虎柄や黒い斑点があります。

胴長で、四肢は太く短く、耳の先端が丸いのも特徴。

イエネコと野生の猫を判別する特別な模様があります。

耳の裏にある、黒地に白い斑点が1つある模様で、これをチェックしてイリオモテヤマネコとイエネコの区別をしています。

夜行性でほぼ単独行動をします。

森林内や水辺に生息し、哺乳類、魚介類、爬虫類、鳥などを捕食する肉食です。

ネズミやコウモリ、イノシシの子どもなども餌にします。

このように広範囲の動物を食べるのは、世界でも類がないとされています。

この動物雑食性のため、体臭が強いです。

獲物の捕え方にも特徴があり、他の多くのネコが獲物をすぐにしとめるのに対し、イリオモテヤマネコは獲物が死ぬまで咥え続けます。

大きな鳥を食べる時、普通は羽毛をむしってから食べますが、イリオモテヤマネコはそのまま丸ごと食べることもわかっています。

鳴き声は他の猫と変わりがないようですが、元々殆ど鳴くことがないと言われています。

野生のため寿命が短く、約8年前後と推定されています。

交通事故などで保護されそのまま飼育されたものの中には、約15歳まで生きたものもいます。

逆に交通事故や他の動物用の罠にかかり死んでしまうものも多く、平均すれば寿命は5年程度ではないか、という研究者もいます。

絶滅が心配されている理由

一番心配とされているのが、交通事故です。

イリオモテヤマネコの行動圏内に沖縄県道があり、横断する時に車にはねられる事故が相次いでいます。

特に瞬発的に行動できない子猫が毎年数匹轢かれているのです。

また、犬に食われたり猪など他動物用の罠にかかることもあります。

他の猫が通常一度に5~8匹産むのに対し、イリオモテヤマネコは1~3匹と言われています。

上記の交通事故などの事故の他、病気やケガから死亡することも考えられます。

国や県の必死の保護にもかかわらず、思うように増えない理由がここにあります。

更にはイエネコや野良猫との競合や伝染病、特に猫エイズへの感染の危険性もあります。

現在までの所例がありませんが、交雑により純血種が減って行くのではないかとも心配されています。

「イリオモテヤマネコの日」が制定されてどう変わる?

イリオモテヤマネコ保護のため、これまでも西表島のイエネコを飼う住民には負担がかかっていました。

飼い猫の登録を始めとして、ウイルス検査、予防接種、避妊・去勢手術、マイクロチップ埋め込みの義務化、飼育頭数の制限などです。

こういった多くの保護によって何とか生態が守られてはいるものの、そのために土地開発が進まないことに不満を感じている人も少なからずいるようです。

西表島は観光と農業で成り立っています。

居住地は島の10%に満たず、人口は約2000人。

経済状態は良くなく、住民の生活基盤整備も整っていない状態です。

年間約40万人の観光客を迎えても、経済が潤うには不十分です。

そのため、島を潤すためにはリゾート開発をもっと進めるべきだとの意見があるのです。

自然環境保全と経済的発展を両立させるのは難しく、今後もいかに土地を利用しつつ環境を保護していくか、が西表島の重要な課題となるでしょう。

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